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水に映った自分自身の姿はいつも見慣れた物。ただ一点だけを除けば
「な、なんで耳が?」
そう、耳だけがいつもと違っていた。ふわふわした触り心地の良い獣耳へと変貌していた。
もしかしなくても、紛れもなく原因は
「これでわかったか?俺が妖怪狼だって」
「良いから戻してよ!」
「それは出来ないな」
「なんでさ!」
ガクガクと狼を揺らして問い詰めてみた所、ゆっくりと口を開いてこう言った
「いいか?さっき俺は死んでも良いって思ってたんだ。それなのにお前が邪魔したからこうやってみすぼらしく生き長らえる羽目になった。だからお前さんには責任をとってもらう事にしたんだ」
「責任って、何をしろって言うのさ」
「そうだな…。とりあえず俺の気が済むまで色々だな」
「そんなぁ」
もう色んな事が起こって混乱したり落胆していたその時だった。
腕が引っ張られるような、坂道をゆっくり転がって行くような、とにかく今まで感じた事のない不思議な物を感じたのは
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