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その問題の学園は確か、全寮制の男子高校だったはず。
これは……引き受ければ、ここの監視員もといアルベルトの目から逃れられる、ということか……?
ちゃ、チャンスだ……!
「ラルフ、それは誰でもいいんだな?実績があり、若ければ。」
「え?あぁ、多分。それしか条件は出されてないよ?」
「ほぅ……。そうか。」
よしよし…これでアルトからも、堅苦しい仕事場からも離れられる……!
「……すぐに、とは言わない。動かせる要員がいたら私に…」
「ちょ、ちょっと待って下さい局長!」
こんなチャンスそうそうない。
逃すわけにはいかないんだ……!
「その仕事、ぼくが引き受けます」
周りがなんだかうるさいが、僕は気にしない。
真っ直ぐと局長の目をみて、応答を待つ。
「……なにか理由でも?」
さして驚いた様子のない局長は、僕に聞く。
理由、ねぇ……。
「僕はいま16歳ですし、生徒として潜入するならなにも問題ありません。それに、侵入者は僕を狙っているようですし、僕が外にでることによって何か変わるかもしれません。他の者よりは……適任かと。」
「……なるほど。」
「えっ、ルドルフ16歳だったの?!童顔だなーとは思ってたけど、子供じゃん!
学校どうしたの?!」
脇でラルフがうるさい。
だが驚いてるのはラルフだけじゃないみたいで、みんな口々にガキだの可愛くないだの……
好き勝手言ってくれるじゃないか。
「そう、だな。確かに、適任かもしれん。
では…この案に異議がある者は?」
「「「……………」」」
「決まり、だな。
では、この件の調査はルドルフ=フォン=ヴァルトブルク、お前に一任する。
よろしく頼むぞ。」
「はい。」
ニヤリ…
僕は細く微笑んだ。
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