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「ということでアルト、僕は全寮制の高校へ潜入調査することになった。あとは頼むぞ。」
「ですから私はアルベルトです、と何度も……え?
ちょっと待って下さい団長。
さらっと何か重要なことを……なんて?」
「だーかーら、僕は全寮制の高校へ潜入捜査に行くと言っているんだ。
その間、副団長のお前にここを頼むぞ。」
「……全く状況が読めないのですが」
会議室からエアコンの壊れた部屋 、秘団(秘密裏実行団の略)室に戻るまでの廊下で、アルベルトに会った。
丁度いいやと思って言ったのだが……なにが気に食わないのか、眉の間に皺がある。
「で?どんな経緯でそうなったんですか?」
「はぁ。かくかくしかじかだ。」
「……………」
「……………」
「……それを本当に使う人、初めてみました。」
僕も初めて言った。
アルトは大きなため息をついて、手を額に当てる。
「本当に、貴方って人は……。
わかりました、詳しいことは局長に聞きます。
……それと聞きたいのですか。」
アルトはここで言葉を区切った。
そして、僕に深層訝しげな目を向けて言った。
「貴方がそのような面倒事を引き受けるなんて珍しいですね。
まさか、こちらの仕事から逃れるためにあえて引き受けた……なんてこと、ありませんよね?」
ギ ク リ
さ、さすがアルト…僕の考えはお見通しってことか…?
だが、甘いな。
仕事をサボりたいから、という理由だけではない。
もう一つ、決定的な理由が……
「団長?
……やはり、そうなのですね」
答えないことを肯定とみなしたのか、今度は白い目で僕をみる。
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