174人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはようございます。編入してきた氷野伊織です。」
ベンチに座って本を読んでいる、白い制服の人に話しかけると、綺麗な黒髪に眼鏡を掛けた所謂''イケメン''が、僕を見上げた。
「あぁ、おはようございます。私は啓凰学園副会長の、桜葉 優晴-オウバユウセイ-です。理事長室まで案内しますね。こちらです。」
副会長に促されて、一緒に道を歩く。
ーーー桜葉優晴、17歳三年生。啓凰学園生徒会副会長で、桜葉コーポレーションの後継。
黒髪を緩く縛って、銀縁眼鏡を掛けている。
身長は170くらいか?
あと"龍御-リュウオン-"という族の副リーダーで、通り名は"ユウ"。
その他、物事を揉み消すのが得意。
婚約者は既存。
えーっとあとは……、こんなもんか。
そのまま黙って歩いていたが、豪華な校舎内に入ったとき、副会長が話しかけてきた。
「氷野君は、どうしてこの学園へ?家庭の都合とはいえ、偏差値の高くて閉鎖的なところに来るなんて、珍しいですね。」
……いきなりそういうの聞いてくるのか?
これが副会長、ねぇ……。
「……家の都合、でして…。ここ、寮がありますし、衣食住には困らないかと思いまして。」
「そうですか……。」
会話が途切れて、副会長は困った顔をしている。
……が、きっとこれは表向き。
腑に落ちない、って顔してる。
そうだろな、僕がここに情報として送ったのは完全なる偽造だから。
しかし、曖昧にしたのが悪かったのだろうか。
まさか直接聞いてくるとは。
最初のコメントを投稿しよう!