秘密裏実行団

2/13

172人が本棚に入れています
本棚に追加
/88ページ
七月。 うだるような暑さの中 ドイツ内の、ある会社の一室では20人もの大人たちが、コーヒーや団扇片手に仕事をしていた。 社員の大半が、コピー機のインク変え、書類の整理、報告書の制作等仕事に追われてる中、 暑さに耐えきれず自分のデスクに上半身を預けている、弱冠16歳の少年がいた。 ーー暑い… なんなんだこの暑さは。ふざけているのか…? エアコンが故障…早く直せよ… いじめか、いじめなのか。 それとも太陽は僕に喧嘩を売っているのか…? ふっ… 「面白い…上等だ。いつかお前を…必ず、金に変えてやる……!」 「何馬鹿なこと言ってるんですか?文句ばかり言ってないで、さっさと仕事してくださいよ、団長」 「…ん?」 テノールの声で団長、と呼ばれた少年は、いつの間にか自分の目の前に立つ長身の男を見上げた。 「おい…暑苦しいぞ、アルト。スーツのジャケットまで着て……。暑さで頭をやられたんじゃないのか?」 げんなりした顔でそう言って、彼は再度、茶色い頭をデスクに預ける。 「正常です。それと私の名前はアルベルトです。いい加減覚えたらどうなんです?」 「はっ、相変わらず減らず口だな。小姓のようにうるさいぞ。もっと上司を敬え」 「何が上司を敬えですか。生憎私は、あなたを上司だと認めた覚えはありませんよ」 それより。 そういって、アルベルトは数十枚の書類を横になってる彼の顔の前に置いた。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

172人が本棚に入れています
本棚に追加