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今回の会議は局長も参加するため、大きな第一会議室で行う。
エアコンも効いているはずだ。
会議室の扉を開けると、既に何人かが席に座っていた。
その人達に軽い挨拶をして、
大きくて長い楕円形の机に目を向ける。
上には缶のお茶と今日の資料であろう数枚の紙が置いてある。
指定の席に座って、置いてある資料に目を通した。
えーっと、
第一項目は前月の反省、第二に現在状況報告、第三で
……ん?
電化製品の故障の原因…?
こんなもの普通会議にまで持ち込まないと思うが……
僕のところのエアコンの話し……な訳ないよな。
「あれ、みんな早いね。」
会議が始まる二分前、大半が席に着いている中、特に慌てる様子もなく入ってきたのは、取締役のラルフ=ツー=ホーエンローエ。
ラルフはアルト(アルベルト)の親友であり、これまた食えないやつだ。
口喧嘩だと、延長戦に持ち込まれることもしばしば。
奴は僕の隣に座り、長い足を組む。
「そういや、君のとこのエアコン壊れたんだってね。この暑い中大変だねー」
さして労わる気のない言い方にイラっとする。
「あれー、無視?全く、子供なんだから。」
無視だ無視。こんな奴に構ってるほど、僕は親切じゃないんだ。
ラルフの一方的な会話にうんざりしていたところに、タイミングよく局長のディーターが入ってきた。
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