秘密裏実行団

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「そろっているね。早速だが会議を始める。」 局長は僕をチラッと見てから、自分の席に少し分厚めの紙束を置いた。 ……なんでだ、いい予感がしない。 号令と共に会議は始まり、怠りなく進んで行く。 そして現状報告が終わり、第三項目に移ろうとしたとき、ディーター局長は持ってきた紙束をみんなに配るよう、近くにいたラルフに言った。 そして、その内容に僕は目を見開くことになる。 「ネットサーバーの故障……情報科に侵入の痕跡あり…だと。」 「これは昨日のことで、急遽会議に取り入れてもらった。侵入者の特定は出来ておらず、追跡中だ。 ……だが、痕跡があっただけでこちらの調査も難航している。 緊急要員が出せるところは、後で私のところへ来てくれ。 そして、侵入者の標的とされているのが……。」 局長が言い淀み、僕は資料から目を離し顔を上げた。 すると、難しい顔をしている局長と目が合う。 「……お前だ、ルドルフ。」 目が合った時点でなんとなく予感はしていたが……。 「また君なのかい?!ルドルフ=フォン=ヴァルトブルク。なんだって君は厄介ごとを運んでくるんだ!」 確かに、よく面倒事に巻き込まれるが……僕だって好きで巻き込まれてるんじゃない。 失礼な発言をした課長のゲオグル=ノイラートを睨むと、彼は僕を鼻で笑う。
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