OBAKE

出会い

「こんな時間にどうしたの？」と私は彼女に訊いた。
「急にね、会いたくなったんだよ」と彼女は返事をした。
「なんでまたこんな時間に？」
「私はね、最近こうやって突如として様々な場所に現れては、そこで出会った人々と交流をしているの」
「この時間じゃなくてもいいじゃない」
どうして私が自分を慰め、それがあらわになっているときに、もう5年になるだろうか、昔恋をした彼女と再会しなくてはならないのか。
「いいじゃない。暇そうじゃない」
そう言った彼女はいたずらをしてそれが思うようにうまくいった時のような笑みを浮かべた。
「そうだね。確かに暇ではあったよ」
今、彼女と口論をしても仕方がないと思った私はこの問題に終止符を打つことにした。