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それでも僕が一箇月もこうしていられるのは、そこに意味があると信じているからだ。
この螺旋階段の終わりには、始まりと同じ素朴な木のドアが忘れ去られたように淋しく佇んでいる。そこを開けると小さな部屋の真ん中に、地面に座り膝に顔を埋め静かに泣いている女の子がいる。
彼女はある日悪い魔女の手によって、この恐ろしい螺旋階段の奥深くに閉じ込められてしまった。その扉は内側からは決して開くことがなく、つまり彼女は誰かの助けを必要としている。けれど不幸なことに、それを知る者は誰もいない。彼女に関する全ての記憶は、魔女の手によって既に人々の頭から抜き取られてしまったからだ。だから彼女は独り、そこにある小さな部屋で淋しく泣いている。
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