螺旋階段

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 さあ、僕は狂っているのだろうか。  傍からすれば意味のない作業を繰り返しすぎるほどに繰り返し、おかしくなってしまったのだろうか。そう思う人も多くいることだろうし、かくいうこの僕も、そうであったらどれだけよかったのかと後悔している面もあるが、こればかりはどうしようもない。  なぜならその少女こそ、僕の恋人であり、時空加速装置の開発者リサ・ブラウスであるからだ。  彼女は時間を未来方向に進み、けれどそこで意地悪な魔女の手によって囚われてしまった。彼女に関する記憶を持ち合わせている人間は僕を含め在りえない。  けれどこれは幸いなことに、こちらの時間には彼女の装置の設計図だけが取り残される。そこで僕は考えた。このぱっと出てきた設計図はかつて存在していた僕の恋人のもので、彼女は未来に取り残されてしまったのだと。
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