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気づくのが遅かった。
何故もっと早く気が付かなかったのだろう…。まさか郵便受けの奥のほうに入っているとは思わなかった。
あの家賃請求書が入っているとは!
「なんで…なんで…」
弱々しい掠れた声がワンルームの中で響く。
俺、笹原竣太は只今一人、部屋の中で蹲っている。そして左手には一枚の薄い紙。
最近はやりの高校生独り立ち。その中の高校生の一人が俺だ。生活費、食費なども全部バイト代から出している。しかも住んでいるところは中々の立地条件で、駅からも近くトイレ、お風呂なども備わっている。それで4万ときた。これほどいい場所はないであろう。
俺はとりあえず、冷蔵庫に入っていたオレンジジュースを口に含む。そして呼吸を整えるように深呼吸し、溜息をついた。多分今の俺の顔はめちゃくちゃ青ざめていると思う。
頭ン中がぐるぐるとお金のことばかり廻っている。
「銀行の通帳の中も1万もはいっていないだろうな…」
まさか家賃の支払いを滞納してしまうことになるのか…。今まで善人で生きてきたはずなのに、こんなことで悪人になってしまうのか。
「悪人なんていやだぁぁ!!」
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