13人が本棚に入れています
本棚に追加
大家の家はこのアパートの一階の一室である。なので行くのはさっさと行けるのだが…。なんだか気が引ける。
大家にお金を借るなんて、今まで思ってもみなかった。まぁ…一か八かで聞いてみて、もし駄目だったなら潔くこのアパートから立ち去ろう…。
俺は階段を一段一段重く踏みしめながら下へ降りた。そして俺は真っ先に大家の家のインターホンを押す。
「これでお金貸してくれなかったらどうしよう…」
ドアの向こう側からドタドタと足音が聞こえてくる。絶対走ってきてるだろ、大家さん。そんな走ってこられると、お金借りに来た俺の気持ちにもなってくれ!泣きたくなってくるよ!
そして勢いよくドアが開いた。
「あら、誰かと思えば竣太くん。こんな時間にどうしたの?」
そこにいたのはピンク色のパジャマをきた眼鏡かけている大家。パジャマにはそこらじゅうにまがまがしい装飾品やらが付いていてごちゃごちゃしている。大家は今年で30歳になったらしい。30にもなってピンクのパジャマとは、言っちゃいけないが笑える。
「いやぁ…大変申し上げにくいのですが…家賃のことなんですが…」
「や・ち・ん・?」
うわぁ…大家めちゃくちゃ笑顔なんですけど、どんだけ家賃に敏感なんだ。
最初のコメントを投稿しよう!