二章 責任

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鱗が何枚も剥がれ、所々に血が滲むその生物は荒々しく地面を踏み鳴らし怒りを露わにする。 「怒りたいのはこっちのほうよ・・・」 構えを取ったまま独り言のように呟く。 「あなたがこんな村に降りてこなければ私だって危害は加えないのに」 怒りに任せて突進してくる巨大生物に向けて、感情を押し殺したかのような声で 小さく呟く。 「だけど、あなたは多くのものを奪い過ぎた」 勢いに乗った突進を正面から受け止めるような構えのまま静かに言葉を紡ぐ。 「それは同時に、私の責任でもあるんだけど・・・」 突進してくる相手の線上から僅かに外れるように流れるような動作の足捌きで下半身を逃がす。
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