二章 責任

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かつて私がまだ王国内に居た頃に武芸の稽古を付けていた第二皇女・・・ミミ。 そして、ミミに寄り添うようにして泣いていた薄紫色の髪と瞳の少女。 「コロナ・・・ごめんなさい。私は・・あなたの大切な人達を守る事が出来なかった・・・・」 静寂が満ちた村で小さく呟くように言葉を紡ぐ。 俯いてしまいそうな顔を上げ、足を無理に動かすようにして村の入り口へと向き 直る。 顔に付いた血を少し雑な動作で拭うようにして巨大な体躯のモンスターの亡骸が 転がるその場を後にした。 いつの間にか高く上った太陽を見上げながら沿岸沿いの街道を馬を駆りひた走る。 目指すは王国。首都バレッジニアス。 正面を見据えた決意を秘めたような瞳とは裏腹にまだ揺れる自身の心。 それを表すかのように、雫を模ったピアスが耳元で揺れていた。
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