第1話

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――シューッ! …ぽとり。 僕は勝った。ヤツは動かない。 僕は急いで割り箸でヤツを捕らえる。 そうして、しばらく大きなヤツを眺めていた。 こんなヤツに奪われた静寂。こんなヤツに奪われた日常――。 きっとこいつは主に違いない。 …主? 何故だろう。 そう思った瞬間、僕は無数の視線を感じた。 それをヤツも察知したのか止まっていた足が、体が動き出す。 ウネウネ、ウネウネと。 だけど、今僕の恐怖はそこにはない。 ほら、聞こえない? 僕の後ろから無数に聞こえるヤツらの音が――。
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