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放課後、友達の美優と一緒に私は、毎日の日課である街中の徘徊へと繰り出した。
行き交う老若男女全員の視線が、痛いくらいに注がれている。
その先にあるのは、友達の美優。彼女はいわゆる、非の打ち所のない完璧な人。
モデルかと突っ込みたくなるほどの整った体にのるのは、クールビューティーと評される顔。
少し目つきがきついけど、それでも、学内では一番の美人。
その上、通うのは有名進学校で、テスト後に貼りだされる順位で、学年トップから名前が動いたことがない。
そんな自慢の友達の横にいる私はと言うと…。
通り過ぎざまに、クスクスと笑う声が聞こえる。
思わず視線を隣の美優に移すと、彼女は満面の笑みを浮かべ、頭を撫でてくれた。
170センチと背が高い美優と並ぶ私の身長は、160センチと少し。
小さくため息を吐き、再び視線を進行方向に向け、目的の店を探す。
その時、明らかに美優に向けて放たれた言葉と共に私の体に衝撃が走った。
思わずフラつき、数歩後ろに下がった私の体を、誰かが抱き止めてくれた。
ハッと我に帰り、慌てて体を離す。ぎこちない動きで振り返ると。
そこには、黒い学ランのボタンを全開にして、誰の目からみても不機嫌だと解る顔をした、男の子がいた。
「あの、すいませんありがとうございました!!」
勢い良く頭を下げ、出来るだけ早くこの場から去ろうと、美優を捜す。
すぐに見つけた彼女の顔には、笑顔が貼りついていて、足下には私を蹴り飛ばした男の子たちが転がっていた。
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