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それはある雨の日のこと。
僕、一条成実は部屋でのんびり過ごしていた。本来ならばいつものように外でひなたぼっこでもしているのだが、あいにくの雨でそれもできないからだ。
一部の勘のいい読者にはわかっただろう。一人称や見た目からよく間違えられるが僕は生物学的には女である。
ってそんなことは置いといて。雨だけどできることがあるだろうと思うそこのおまえ。
言っとくが僕がこんなにやる気ないのはできることがすぐに終わってつまらないからだ。
パズルはすぐに解けたし、今日のニュースや部屋にある本はもう一言一句全て頭に入ってる。さらに室内でできる居合いの訓練はもう終えている。
もしここに、自分の父のような医者を志す女――南雲結愛――がいたら診療所を手伝ってくれと言われるだろう。だが、正直めんどくさい。確かに暇を持て余しているが、だからといってわざわざ無理をしてまで労力を使う必要はないだろう。
そう考えて、僕は今自分の時間を満喫している。
しかし、その平和な時間は早くも崩されることになりそうだ。
ピリリ ピリリ
とMTF(読者でいう携帯電話のこと)が鳴り響く。
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