147人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
「ちぃちゃん、はじめまして安田ですぅ」
猫に対して丁重すぎる挨拶をしながら、頭をゆっくり撫でるヤス。
頭撫でられて気持ちよさそうにしてたちぃちゃんは、もう気を許したんか、ヤスのくるぶしに頭をこすりつけて、「はみゃあ」なんて鳴いとる。
コラ、ヤスは俺のんや。
「ちぃ、ヤスのこと気に入ったみたいやな!よっしゃ。ほんならたつ、これ、ちぃの世話道具一式や。こン中にトイレやらぁエサやらぁ全部入れてあるから。あとな、たまにメシ食わんくなる時あるから、そん時これやってくれ」
「えっ、ナニコレ?『かつおフレークのゼリー仕上げ~オリゴ糖添加~』?めっちゃ旨そうやし、体に良さそうやん!」
「たつぅ、食うなよ」
「あっはっは!いくらなんでも食わへんわ」
「ちょっとええやつやから高かったわぁ…」
「ほんま高そ」
ちぃちゃんは、自分の大好物を持ってる俺を目ざとく見つけて、今度は俺のくるぶしに頭をこすりつけてくにゃくにゃし出した。
「これ、ちぃが甘える時にようやるやつやねん」
「あっはっはっは!頭ええなぁ。ちぃちゃん、今はまだあかんで」
「うはははは!ちぃ、敵は手強いで?おとなしくしとるんやな!ほな、ヤス、たつ、よろしく頼むわぁ」
俺の足に絡まっとる飼い猫を撫でて、村上君はくしゃっと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!