男の中の男

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「ちぃちゃん、はじめまして安田ですぅ」 猫に対して丁重すぎる挨拶をしながら、頭をゆっくり撫でるヤス。 頭撫でられて気持ちよさそうにしてたちぃちゃんは、もう気を許したんか、ヤスのくるぶしに頭をこすりつけて、「はみゃあ」なんて鳴いとる。 コラ、ヤスは俺のんや。 「ちぃ、ヤスのこと気に入ったみたいやな!よっしゃ。ほんならたつ、これ、ちぃの世話道具一式や。こン中にトイレやらぁエサやらぁ全部入れてあるから。あとな、たまにメシ食わんくなる時あるから、そん時これやってくれ」 「えっ、ナニコレ?『かつおフレークのゼリー仕上げ~オリゴ糖添加~』?めっちゃ旨そうやし、体に良さそうやん!」 「たつぅ、食うなよ」 「あっはっは!いくらなんでも食わへんわ」 「ちょっとええやつやから高かったわぁ…」 「ほんま高そ」 ちぃちゃんは、自分の大好物を持ってる俺を目ざとく見つけて、今度は俺のくるぶしに頭をこすりつけてくにゃくにゃし出した。 「これ、ちぃが甘える時にようやるやつやねん」 「あっはっはっは!頭ええなぁ。ちぃちゃん、今はまだあかんで」 「うはははは!ちぃ、敵は手強いで?おとなしくしとるんやな!ほな、ヤス、たつ、よろしく頼むわぁ」 俺の足に絡まっとる飼い猫を撫でて、村上君はくしゃっと笑った。
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