クルマン

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「村上君」 ふいに頭上から声をかけられた。 「お、たつ!ありがとぉな」 「ええよ」 リードを持ったたつの目線の先には、ヨコと一緒に犬とじゃれあう、ヤス。 たつはヤスから目を離さんと、 「横山君が村上君見てる時も、あんな顔しとるで」 なんて言う。 あんな顔?そらどんな顔や? 「多分、世界で一番可愛いって思ってるて。言わへんだけで。」 「イヤ、ちゃうやろ」 「横山君、恥ずかしがり屋やからさ。言われへんねんて」 「そぉかぁ?」 「自惚れてええと思うで?」 そう言うたつは、照れたみたいなめっちゃニヤニヤした顔になってて、それは仕事しとる時のしゅっとした顔とは違う、なんだかもう知らん奴みたいに思えるくらいやって。 ……見とるうちに腹立ってきた。 お前がヤスのこと好き過ぎるん、だだ漏れや。 俺がヨコにそんな顔させるん、地球ひっくり返しても無理やし。
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