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「座らん?」
「おん」
フラのリードをベンチにくくりつけてから、たっちょんの隣に座る。
たっちょんは遠くを見たまま、ちょっと言いにくそうに静かに切り出した。
「こないだなー。受付嬢にコクられてん」
「えっ!」
突然のカミングアウトに二の句が継げない俺。
「あっはっはっは!だいじょぶやって!ちゃんと断ったで?付き合ってる人がおるって。____ほんまは結婚したいんやって」
って、真剣な顔して言うたから、俺は、たっちょんの顔を見るだけが精一杯で、何も言えんくなってしまった。
『俺たちめっちゃ愛し合ってるで!』
____こんなふうに言うとほんまアホみたいやけど、フツーの恋愛とはちゃう、なんか強い繋がりみたいなんがあって、そういう関係なんやって、お互いに信じてるっていうか、思ってるところがあってん。
もしかしたらたっちょんは、本当に俺と結婚___はムリやけど、それに近いことを考えてくれてるんちゃうかって、目を見ていると、そう思わせてくれるところがあったから、俺はすごくすごく嬉しくて、それを伝える方法がわからんかったから、隣に置かれたおっきな手をぎゅうっと握った。
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