アニマル

8/10

147人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
* 飛び散る男の汗。 生まれたまんまの姿にタオル一枚。雛壇にひしめくおっさん達の肌、肌、肌。 摂氏90度の灼熱地獄の中で、もはや健康とか不健康のレベルを越えた銭湯の中の戦闘。 「ヨコ、先出てもええんやで」 「すばる、出たいなら先出ぇや」 ちっさいおっさんと白いおっさんは、何やら大人の我慢大会を絶賛開催中らしい。 俺はそろそろ出たかったから、すばるに気になることだけパッときいて出たろ思て話しかけた。 「すばる」 「ん?」 「まるはどないすんねん」 「どないもこないも今日来る言うてるわ」 「え?どこに?」 「なんやったっけ…帝国ホテルに予約したから来てくれってメールきてた」 「マジで?めっちゃ高いホテルやんか!随分気張ったなぁ、変態看護師!」 「そうなんや…」 「そうなんやって、お前、もうちょっとアイツの気持ち汲んだれよぉ。…てか、すばる、俺たちとこんなとこいたらあかんやろ!まるんとこ行ったり」 「俺、行かん」 「なんでやねん」 「行かんもんは行かん!」 「ヨコ~。あんたからも言うたってやぁ~」 「……めっちゃ涼しい」 「おい!あんた我慢し過ぎやて!口走ってることおかしいっ!」 「____だんだん気持ち良くなるんはなんでやろなぁ」 「あかんあかん!即身仏になってまうで。ほらっ。立って!すばるも!出るぞっ」 俺はヨコとすばるを引っ張って、サウナを出た。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

147人が本棚に入れています
本棚に追加