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飛び散る男の汗。
生まれたまんまの姿にタオル一枚。雛壇にひしめくおっさん達の肌、肌、肌。
摂氏90度の灼熱地獄の中で、もはや健康とか不健康のレベルを越えた銭湯の中の戦闘。
「ヨコ、先出てもええんやで」
「すばる、出たいなら先出ぇや」
ちっさいおっさんと白いおっさんは、何やら大人の我慢大会を絶賛開催中らしい。
俺はそろそろ出たかったから、すばるに気になることだけパッときいて出たろ思て話しかけた。
「すばる」
「ん?」
「まるはどないすんねん」
「どないもこないも今日来る言うてるわ」
「え?どこに?」
「なんやったっけ…帝国ホテルに予約したから来てくれってメールきてた」
「マジで?めっちゃ高いホテルやんか!随分気張ったなぁ、変態看護師!」
「そうなんや…」
「そうなんやって、お前、もうちょっとアイツの気持ち汲んだれよぉ。…てか、すばる、俺たちとこんなとこいたらあかんやろ!まるんとこ行ったり」
「俺、行かん」
「なんでやねん」
「行かんもんは行かん!」
「ヨコ~。あんたからも言うたってやぁ~」
「……めっちゃ涼しい」
「おい!あんた我慢し過ぎやて!口走ってることおかしいっ!」
「____だんだん気持ち良くなるんはなんでやろなぁ」
「あかんあかん!即身仏になってまうで。ほらっ。立って!すばるも!出るぞっ」
俺はヨコとすばるを引っ張って、サウナを出た。
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