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帝国ホテルに着いたら、最上階の、夜景がきれーな、おされなレストランに通されて、そこにはスーツ姿のまるがおった。
「すばる君、お疲れ。迷わず来れた?」
うわ。まるの悪いとこ出てる。
店員に促されて脚のなっがい椅子に座ったものの、俺の足がぶらぶらするばっかりで全然落ち着かん。
言いたいことがいっぱいありすぎて、なんっにも言われへん。
なんで帝国ホテルやねんとか、なんでまたスーツでしかもボルサリーノやねんとか、なんで標準語なんとか___
ああっ!もぉっ!わっかれへん!!
しゃべるんしんどくなって、無言で対応することに決めた。
「食べてきた?」
頷く俺。
「なんか、飲む?」
首を横に振る俺。
「そっか……。」
手の内なくなるん、早っ。
「すばる君…」
まるは帽子をとって、前髪ぐじゃぐじゃってかいたあと、俺の顔じっと見た。
なんやねん。
そんな優しい目ぇで俺見たかて、どないしょもあらへんで。
手持ち無沙汰で、足と一緒にぶらぶらさせてた俺の手ぇに、湿った手の甲がかすかに触れた。
「部屋、とってあんねん」
頷く、俺。
なに頷いてんねや。
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