子供

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サラは必死にお腹の子に呼び掛けた…。 『ママが守ってあげるから元気に産まれてきて…』 『青木さん、もう医大につくからね。頑張るんだよ』 救急隊員の人も励ましてくれた。しばらくすると救急車は医大に到着しサラとサラの母を産婦人科まで案内した。サラはビショビショになった洋服をみて本当に大丈夫なのかと更に不安になる。 『どうも、初めまして。産科の安藤です。よろしくね。サラさん』 『はい…お願いします』 産科の他に麻酔科、担当看護婦、助産婦、婦長、研修医と色々自己紹介された。でも今のサラにはどうでもよかった。 『サラさん。お腹の赤ちゃんはね、今元気じゃないか、産まれてきてから元気じゃなくなるか…という症状なんだ。だから少しでも赤ちゃんに負担がかからないように帝王切開術をつかうよ。大丈夫かな?』 『え…お腹切るんですか…?』 サラはまた不安にかられた。やっぱりまだ二十歳の女の子。傷を付けるのは抵抗があった。考えがまだ『子供』だった。
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