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「ほら、夕飯の材料を買いましょう」
花蓮に促され、スーパーの中に入る
「何が食べたい?」
「んー、なんでもいいかな。強いて言えば肉系が嬉しい」
「そう……ならハンバーグにしましょうか」
「お、いいな。楽しみだ」
料理がうまい花蓮のレパートリーの中でも、ハンバーグはかなりの完成度を誇る
そのまま店に出してまったく問題ないレベルだ
「そうだ、豪太さんと礼奈さんには連絡したの?うちで一緒に食べるんでしょ?」
「さっきメールを送ったわ。父さんの仕事が終わったら二人で来るって。七時ごろになるみたいだわ」
……手際よすぎだろ
カートを押しながらスーパーの中を回る
野菜や肉の鮮度など、細かいところまでチェックしながらカートに入れていく様は、どこかの若奥様のようだな
ふと周りを見ると、他の買い物客がこちらを眺めている
ここでも花蓮は人目を集めるな
などと考えていたら、主婦らしきおばさん達が
「夫婦かしらね、若いっていいわ~」
と噂しているのが聞こえた
……なんだこれ、恥ずかし!
俺に聞こえていたということは、勿論花蓮にも聞こえていたわけで、やはり頬を軽く赤く染めていた
しばらく無言でスーパー内を回る
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