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前田敦子は、三年生が卒業し、大島優子が死んだあの日、てっぺんに立った。
しかし、それは彼女の望んだことではなく、大島優子からスカーフを託されたことで、目に見えて媚びへつらうようになった同級生や下級生たちの対応に困った。
前田にとって、てっぺん、という称号などは何の意味もないものだった。
ただ大島優子ともっと話したかった。もっと知りたかった。もっと一緒にいたかった。
大島優子の明るさに憧れた。物理的な強さではなく、死の直前まで周りの人のために生きた、そういう強さに憧れた。
みなみの死に絶望しているときに、だるまや、他の猛者たちと出会ったことでほぐれていった前田の心は、優子の死によってまた荒んだ。
サドと戦った時。自分は戦うことを嫌っているはずなのに、不思議に高揚していて、そんな自分が嫌になった。
やはり、自分は、人を傷つけることが好きなのか。そう思うとヘドが出た。
今日は朝から全校集会がある。
興味ない。
心のなかで呟いた。
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