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まったりと最寄りの街、ラインハルトへと歩を進めつつ、自身の過去へと目を向ける。
アルは半歩後ろを付いてきている。
決して裕福だったとは言えない少年時代、私の楽しみは読書に集約されていた。
もちろん書庫などというものは生家にはなく、近所の地主の息子に頼み込んで、読ませてもらっていた。
「ほらほら、アル。余所見ばかりしていては遅れますよ。」
アルは外界に興味津々みたいですね。
色々な書物を読み漁るなかで、お気に入りというものが当時の私にも見つかった。
ダンジョンマスターの伝記である。
「マスターッ!少しゆっくりと歩いてくれ。色々と見ながら歩きたいんだ。」
この短期間でアルを困らせる喜びに目覚めた私は、頷きながらもペースは落とさない。
伝記の中での彼ら、ダンジョンマスター達は、最後には滅ぼされたり、封印されたり、隷属させられたりと、なかなかにハッピーエンドとはかけ離れた存在だった。
そんな彼らが私にとっての憧れだった理由、それは、力だ。
まさに孤軍奮闘、四面楚歌。
いくら側近く仕えるもの達がいても、それらは皆、マスターの創造したもの達。
自分の力がすべての世界。
幼い私は、純粋な力に憧れを抱いた。
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