Chapter 3

3/4
前へ
/66ページ
次へ
歩き始めて30分。 そろそろ道半ばという所でしょうか。 「ここらで休憩にしましょうか。椅子と飲み物を2つ。手頃なもので構いません。承認。」 アルも漸く景色が楽しめると言わんばかりの様子で腰掛ける。 水分補給もしっかりしていますね。 子供の頃の憧れは、歳を重ねるにつれ、次第に現実味を帯び、自分の不甲斐なさを呪う原動力へと姿を変えていた。 何故、自分には力がないのか。 答えは明白。 求めていなかったからだ。 腕力であろうと、財力であろうと、権力であろうと、力には変わりない。 私は、私のために、力を欲した。 「マスター。おかわり。」 「自分で勝手に出して良いですよ。あなたは大切な家族なんですから。」 全てを変えるのは力だと、今でも信じて疑わない。 もちろん、愛や友情も信じている。 しかしそれらも根本は、求心力や対人能力といった力の累積の結果の一つではないだろうか。 ダンジョンマスターは、まさに力の象徴だろう。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

690人が本棚に入れています
本棚に追加