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「まずはご飯にしましょうか。アルは何が食べたいですか?」
「ラザニア!」
ふむ。先程の水分補給時に、もしやと思ったのですが、やはり、私の影響を強く受けてしまっているようですね。
ダンジョンの中で唯一、0から創造をスタートしなくて良い存在である、コア。
伝記を読みながらその存在の重要性を噛み締めていただけに、感慨もひとしおです。
まあ、だからこそタイプの女性へと変位を成し遂げているのでしょうから、もちろん不満はありません。
「それでは、ポイントをお金に変えて、レストランへと向かいましょうか。承認。」
まったりと食事に舌鼓を打ちながら、今後のことについて、アルへと相談します。
アルは手を休めずに、耳だけこちらに注意を向けているようですね。
「先程申し上げた掃除というのは、実は、不正の排斥を意味しています。私の身分であるダンジョンマスターを利用して、徹底的に叩き潰したいのですよ。」
回りの喧騒がやけに耳にまとわりつく。
これ程までに、安直な表現が自身の口から出るものとは。
「マスターの意志は尊重する。だが、ダンジョンの運営はどうするつもりだ?留守の間に侵入者が現れたら、マスタールームはがら空きだぞ?」
「ふむ。それもそうですね。では、こうしましょうか。ボスモンスターであるアルとの戦闘による勝利をマスタールームへの入室資格として設定する。更にマスタールームへの扉に触れたものは、挑戦者として見なし、ひとまずわたしたちのもとへと強制転移して、面接してから戦闘するようにしておけば、誤殺も防げますしね。以上で承認だ。」
うむう。またしても低く唸り、ダンジョンを餌としてしか考えていない様子のベルに、承服しかねる様子である。
やはり、今までの奴等とは、本当に何から何まで訳が違うようだな。
まあ、意思のある生活も悪くはない。
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