690人が本棚に入れています
本棚に追加
あれから暫く歩き、約束通り夕日を横目にお茶をして、帰路につきました。
お互いに夕飯とお風呂を終えて、今は街で買ったラインハルトのパンフレットを読みながら、まったりとしています。
アルはホットミルクをゆっくり啜り、ひどく幸せそうですね。
「ふむ。今日の街の様子から見て、表面はきれいですが、内部は腐敗にまみれているようですね。必要悪や、絶対悪など、様々な考え方が存在し、それらの産業の必要性を訴えるかたも多いようですが、生憎私はそういったことが大嫌いなんですよね。おうちの近くであんなことが横行しているなど、不快極まりないのです。」
「うむ。マスターはマスターのやりたいようにやれば良い。私はただ付き従うのみ。」
長い独り言にも、律儀に返してくれるアルを眺めていると、心まで暖かくなりますね。
「ありがとう。」
「うむ。」
「考え事は明日にして、今日はもう一緒に寝ようか。」
「う、うむ。」
少しきつい口調に戸惑うアルに満足しながら、ゆっくりと横になり、まぶたを閉じます。
非常に心地よい。
最初のコメントを投稿しよう!