夏の思い出①

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それからお互い、何も話さずに山を降りて、 彼女の道案内で家まで送り届けた。 「確か、ここの近くに友達の家があったな…」 素直に驚いた、世界が狭いことに。 まぁ、世界が狭いというより、この町が狭いのだけれど。 「そうなんだ、なら中学は一緒だろうね、その人と。」 「女の子だから、友達だったりしてな」 「アハハ ありえるかも」 「そういえば、高校どこなんだ?」 「星稜高校よ」 「…僕も…」 「え?」 「僕も…星稜高校…」 「ウソ~~~!」 世界は…いや、この町はホントに狭いなと、このとき実感した。 まぁ、全部で5クラスあって、このあたりのやつはほとんど星稜高校か、美濃山高校だったので、 よくよく考えたら可能性はかなり高かったのだけれど。 「学年とクラスは?私3年2組」 「あぁ、離れているな、僕は3年7組だ。」 「そっかぁ~残念。」 「だな、じゃあ俺もう行くわ。」 「うん、ありがとう、また学校でね」 「おう」 そう言って俺はバイクを走らせた。 サイドミラーで彼女が手を振っているのを、確認しながら…
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