夏の思い出①

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夏休みに入って一週間、天体観測は僕の日課だった。 ここは歩くワイセツ物、歩く有害図書として、 執筆者が書く他の小説でもお馴染みの、工口(こうぐち)が教えてくれた場所、 天文台の近くにある天体観測に持ってこいの穴場だ。 僕の趣味が天体観測であることを教えると彼は、 少し、寂しげというか、悲しそうな目でこの場所へ案内してくれた。 「昔、一度だけここに来たことがある、まぁ知る人ぞ知る名所だな。」 とか、なんとか言って彼はすぐに帰った。なんでこの場所を知っているのか謎だったけど、 言いたくないことの一つや二つはあるだろうと思い、僕は何も言わなかった。 そうして、僕は時間がたつのを忘れて天体観測に没頭していたとき、 「あぁ~~!!先を越されたぁぁ~!」 突然、後ろから女性の声が聞こえて、望遠鏡を夢中で覗き込んでいた僕は思わず ビックリして、体がビクっと震え上がったあと、 転げた時のようなキャァ!というカワイイ悲鳴と、イッタ~…もう… という、拗ねたような声が聞こえたので、どうやらコケたらしい。 「おい、大丈夫か?暗いから足元気をつけろよ」 と言って僕は彼女の足元を手持ちのライトで照らすと、 そこには、僕と同い年くらいの華奢な体をした女の子がいた。 「立てるか?」 と聞くと、 「うん、大丈夫!」 と、元気な声が聞こえた。 「照らしてくれてありがとう。わたしは早川(はやかわ) 美空(みそら)。あなたは?」 「僕は星野 光」 「星野君か、よろしくね。」 「こちらこそ。」
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