夏の思い出①

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天体望遠鏡を使うのは初めてだったようで、使いかたを教えながらだったが、 覚えが早く、すぐに使い方を覚えた。彼女はキャッキャと騒ぎながら、天体望遠鏡を覗く。 「わぁ~…あ、あれが火星か!」 なんて言いながら、彼女は子供のようにはしゃいだ。 「あ、わたしばっかり使ってごめんなさい!はい、どうぞ!」 「ありがとう、そこにあるブルーシートにでも座っていてよ。 それと、リュックの中にジュースもあるから、よかったらどうぞ。」 偶然だけどブルーシートとジュースを持ってきてよかった!! 彼女の中で僕のイメージは間違いなく紳士だ!! フハハハハ、あとは彼女の飲んだあとに僕がジュースを飲めば… いやいや、僕は紳士だ、ジュースは全部彼女にやろう。 そういう問題じゃないだろうと言う声が聞こえたような気がした。 「わざわざこんなのまで持って来てるんだ!スゴイね!」 「あ、うん、まぁね」 偶然持ってきただけなのにこんなに褒められるとちょっと罪悪感があるな…。 そうして、僕がしばらく天体観測に夢中になっていると、空が白み始めた。 「ふう…」 僕は一息つき、リュックからサンドイッチとコーヒーを取り出し、 早川さんのほうを見ると、彼女はブルーシートで寝ていた…とても、キレイな顔で。 そして僕は、サンドイッチを食べながらその寝顔に魅入ってしまった。 この表現だけではただの変態なのだが、寝顔というより朝日に照らされている彼女の横顔に魅せられてしまったのだ。
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