使命

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森の中に建つ大豪邸。 赤を基調としたその建物の内部にある広い部屋。 中は殺風景で、扉はひとつ。部屋の中央には巨大な円卓が設置されており、それを囲むようにして八つの椅子が置かれている。 そこでは今、八人の男女による激しい口論が行われていた。 「大量殺戮だと!? 何を考えている!?」 円卓に勢いよく両手を叩きつけ、椅子から立ち上がって怒鳴るのは大柄な黒髪の男。 所々に白髪が混じっているものの、歳の割には若く見える方だ。 「仕方のない犠牲……というやつだ」 言葉を返すのは、腕を組み椅子の背にもたれている細身の男。腰まで届く銀髪は異様な煌めきを放っており、瞳もまた同じく銀の光を灯っている。 「世界にどれだけの被害が出ると思っているのだ!? 我々は調和を守る集団として活動しているというのに!」 「その調和を守る為の、犠牲と言っているのだ」 口論を続ける二人の間に座る長身の女性。 「事実、互いに相容れない存在なら、やがて戦争は起こるのです」 彼女が口を開き、会話に参戦すると他の者達の視線が同時に集められる。 「決断の時が来たのでしょう。生き残るのは能力者か、それとも非能力者か」
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