使命

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絶世の美女と比喩するにふさわしい彼女が身に付けているものは黒、黒、黒。 髪飾り、ドレス、手袋、靴、傘。どれもが黒で、かつ異様な雰囲気を纏っている。 「いけませんよペルセポネ。この場は話し合いの為に設けているのです、二人も落ち着きなさい」 アテナはなだめるように、だが冷徹な口調で睨み合う二人を制止する。 会話に参戦した美女、ペルセポネは不気味に微笑むだけでそれ以上の言葉を発さなかった。 「ガイア、ひとつ聞きます。これから能力者は増え続けるでしょう。“石盤”の内容を知っているにも関わらず、これ以上どうしようと言うのです?」 言われたガイアは、とりあえず椅子に腰を下ろし、呼吸を整える。 「能力者を管理する大規模な組織を結成する。それ以外に、現状を維持する方法はないと思っている」 「大規模な組織……ですか。それを使い、全ての能力者を管理すると?」 「……絵空事だな」 今まで黙っていた最後の一人、眼鏡とマスクで顔を隠している白衣の男が、ついに口を開いた。 「大規模な行動を起こせば反発する者も多くなる。最初のうちは安定していくだろうがジリ貧だ」 「しかし、大量殺戮よりはマシだろう?」 「どうかね、多くの非能力者達が犠牲になる気がするが?」 アスクレピオス。通称アースと呼ばれる白衣の男は、椅子の背にもたれたまま冷静な口調で、視線の移動もなくただ言葉を投げる。 「すでに結論は出たろう。お前の言う大量殺戮以外に道はないさ」 「その通りだ。ガイア、貴様の考えはあま過ぎる」 銀色の瞳を輝かせ、クロノスがトドメの一言。 だが、ガイアはまだ諦めていない。
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