使命

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「ならば、組織の結成は私一人でやる。世の安定の為、私はこの集団を抜けさせてもらうぞ!?」 そう言って再び立ち上がったガイアは、そそくさと円卓から離れ、扉へと向かう。 「私が成功したら、貴様達に大量殺戮などという真似は絶対にさせん! いいな!?」 「できたらな。ま、無理だとは思うが」 「待てアース。初めから無理とわかっているのにやらせる必要はあるまい、時間の無駄だ。我の考えに賛同せんと言うなら消すまで……」 「クロノス、話し合いだと言ったはずです」 「話し合いは終わりだアテナ! 調和は私一人が設立してみせる」 「ちょっと待てよ」 口論を中断させたのはタナトス。彼はどちらの言い分にも不満があるようだ。 「もし仮にガイアが成功したとして、俺達は組織とやらの結成を待つわけか?」 「その心配はない。我が奴を殺す」 「だから待てって、ガイア消してめでたしってわけでもないだろ」 「なぜだ? 貴様は皆殺しに賛成したのだろう?」 「お前らが戦り合えば被害甚大だ。巻き添えはゴメンだからな」 「わかりました」 再び、口論は打ち消される。その言葉の主はアテナだ。 「十年ですガイア。その間、我々は様子を見ていましょう」 振り返り、扉の前に立つ彼へそう言い放つ。 「……感謝する」 ガイアはそう言い残した後、扉から外へ出ていってしまった。 「なぜだアテナ? なぜ奴をいかせた?」 「殺さずに済むならそれが一番。少しの間、彼にやらせてみては?」 「それで、あたし達は十年間も暇になるわけ?」 「納得いかないな。タナトス、貴様もそう思うだろう?」 「……どうだかね」 「各々、言いたいことはあると思いますが我々は調和を守る集団。好き勝手に殺しはしないのです。しばらくは彼に任せて、我々は我々の仕事をしましょう」 「仕事? 他に何がある?」 「最近、アイギスから我々以外に能力者の集団が結成しつつあるとの報告がありました。その件と対処についての話し合いをしましょう」 能力者政府の結成とエリュシオンの十年沈黙。 ここから、物語は始まったのだ。
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