セラフィム

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ーーーーー 森の中に、轟音が響き渡る。 「ヒャハハハハハ!」 青々と茂った草木は焼かれ、一瞬にして塵と化した。それでも尚、高らかに笑う男は両手から橙色の光を放出し、美しい森を円上に焼き払う。 「……ずいぶんと使いこなすようになったじゃないか」 「ヒャハハッ! 当然だろォが、この俺様の能力だ! 俺に扱えねぇわけがねぇ!」 言葉を返しながら光線を放つのは、獅子の鬣のような黄金に煌めく髪を持つ長身の男。 髪と同じく金色の瞳は、凄まじい輝きを放って対話の相手に向けられている。 「なら俺も、遠慮はいらないわけだな?」 もう一人が折れた枝を拾うと、ボロボロに崩れていたはずのそれが鋭く研ぎ澄まされていく。 彼は肩にかかるほどの黒い髪を揺らしながら、紫色の瞳で相手を見つめている。 目に輝きは灯っていないものの戦意は十分。細身の体で機敏な動きをみせ、迫る橙色の光線を手際よくかわしていく。 「こいよ……格の違いを教えてやるぜ」 身構える金髪の男は、【原子力を操る力】を持つ能力者。 名を、ウォーリー・レイエス。 彼の圧倒的な攻撃力はみるもの全てを焼き尽くし、塵に変える。 対する黒髪の男は、【触れた物を鋭利にする力】を持つ能力者。 名をトム・レンフロ。 温厚な性格からは想像もつかない残虐な力で、あらゆるものを斬り刻む。 「ほら、撃ってこいよ。俺の防御は破れねぇからよォ」 「本気で当てはしないよ。怪我でもしたら大変だ」 そう言いながらも、鋭利化した木の枝に研ぎ澄まされた大気が纏わりつく。 「優しいねぇ、へパちゃんは!」 「お前は自信過剰すぎると思うぞ?」 能力を使って派手に森を荒らす二人だが、実は殺し合っているわけではない。 自らの力を戦いの中で磨き、完璧な制御を目標として牽制を飛ばし合っているのだ。 「当たったって大丈夫なんだよ、この防壁がある限りな」 ウォーリーの全身を、橙色の光が包み込んでいく。 「全力で来てみな! 効かねぇから!」 「そんなに言うなら」 トムが枝を投げ放つと、纏わりついた大気が鋭利なドリルの役割を果たし始めた。 そしてウォーリーに直撃。すぐ後で、鋭利化された枝が粉々に砕け散る。
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