三夜

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フランケン青年は、くしゃくしゃになった紙幣を3枚俺に渡した。 それから、琴子さんにも渡そうとする。 「ちょいと。何の真似だい、兄さん。」 「え、あの、縫ってもらったんで、そのお礼ですけど・・・」 「その程度、礼なんていらないわよ。気にしない、気にしない。」 ろくろっ首の琴子さんは、随分と気っぷがいい。 それでも、フランケンが困っていると、仕方がないという風にため息をついた。 「じゃあ、夜道は危ないから、送ってくれる?お店まで。客になれとは言わないから。」 「はい!」 きっと、高い店なんだろうな。 この包帯だらけのフランケン青年が入れるとは思えない。
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