三夜

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俺が落ち込んでいる間に、吸血鬼は勝手に店の外に出て暖簾を片づけてきた。 その際、表のヤタと口論しているみたいだったが、俺が具合悪いってことでヤタも引き下がったらしい。 いや、俺、もう立てますが? 暖簾を持って入ってきた吸血鬼は、カウンターの中に戻って片づけを始めた俺を見て、明らかにがっかりした顔になった。 「何故そんなにも早く元気になるのだ!」 何故と言われても。 怪我や病気じゃねえし。 勝手に店じまいってことにされちゃあ困る。 「弱っているところなど滅多に見せんのに!千載一遇の好機到来だったのに!」 何の好機だ? 言っていることが本当に通じない。
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