二十七夜

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昼になって布団から出ても、頭がぼーっとしている。 しっかりしないと。 店は休まない。 ビビっているこの俺ができることは、店を通常営業することだけだ。 珍しくコーヒーを飲んで、食欲がない胃に残り物を少しだけ放り込んで、買い出しの準備をする。 裏口から店に入り、厨房を点検し、冷蔵庫の冷子さんの中を覗く。 買い忘れがないようにメモをして、店の戸を開けて出ようとして、手が止まった。 夕べ、ポチはヘルさんと帰ってしまった。 俺は、一人で買い出しに行かないといけない。 それがこんなに怖くなるなんて! もし、ロキが約束を反故にして何か仕掛けてきたら? 戸に指をかけたまま、しばらく動けなかった。
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