九夜

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「ああ、美味しそうですね。いただきます。」 俺の付きだしを見て、にっこり笑ってくれたのは、お坊さん。 普通の人間である。 この人は、清寛(せいかん)さん。 俺の祖母ちゃんの菩提寺の跡取りで、葬式はこの清寛さんのお父さんがしてくれた。 ちなみに、清寛さんは昔、「きよひろ」って名前で呼ばれてて、同じ高校だった。 ただし、年は俺より1つ下。 葬式ん時に、こいつから「烏丸先輩。ご無沙汰してます。」って声をかけてきてくれた。 物静かで穏やかな後輩で、そういや寺の息子だったなとその時思い出したんだ。
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