九夜

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表のヤタが、ぎゃあと鳴いた。 人間の客がいるとき、ヤタは言葉を発しないで本物の烏みたいに鳴く。 「らっしゃい、ミハイさん。」 「うむ。」 入ってきたのは、吸血鬼のミハイさん。 ミハイさんは清寛さんを一瞥していつもの席へ。 清寛さんは、軽く頭を下げてそのまま食べる。 ミハイさんも、清寛さんがいるときは静かにしている。 てか、人間じゃない客は、いつもそこんとこをちゃんとわきまえていて、正体を出さないようにしていてくれる。 人間社会で暮らしていくのは大変だな。
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