十二夜

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「どうした?ひどい顔をしているぞ?」 ミハイさんが、心配そうに覗き込んでくる。 ボケたことを言う残念な上位吸血鬼だけど、この人はこの人なりにいつも俺の心配をしてくれる。 俺は、そんなミハイさんに、よほど情けない顔を向けてしまったんだろう。 ミハイさんは、俺の手から暖簾を受け取って、代わりに掛けてくれた。 「とにかく、中で話せ。何があった。」 「・・・すみません。」 や、たんに今日の俺があまりにもついていないだけのことなんだが。 赤ワインのボトルが窓際にあったことだけは、俺のミスとは思えないけど。 でも、戸に鍵はかかってたし。
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