二分の一夜

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居酒屋○(まる)を開店してひと月。 その頃は、まだごく少数の人間と、人間でないなら狼男の木戸くらいしか来店していなかった。 ヤタもまだいない。 木戸が初めて来て、彼を警戒した妖精を見て驚いて、それで正体がわかったんだっけ。 まあ、普通に肉を食べていれば人畜無害で、それどころか人間社会でちゃんと働いているのがわかったから、別に追い出したりはしなかったんだが。 ネットで、狼男の弱点なんかを調べていたなんてことは、内緒で。 その頃は、まさかこの店が人間以外の客ばかり来るようになるとは思わなかったし、そういう客に慣れていなかったから・・・ いや、今だって慣れているわけじゃないが。
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