十八夜

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「いっそのこと、店をたたんで嫁に「ワイン飲み過ぎで酔ったんですよね、そうですよね?」!」 思わず白木の杭を厨房の足元から出してきて、突きつけてしまった。 ミハイさんは黙ったけど・・・こんな方法は本当はよくない。 店主なんだから、ちゃんと受け流せるようにしないと。 まだまだ未熟だ、俺は。 「すみませんでした。店主としてあるまじき行為でした。」 って、ちゃんと謝ってるのに、横からまた余計な茶々が入る! 「やっちゃいなよ、泉実さん。カウンターに打ち付けるくらいなら、俺がそこ直すからさ。」 そう、実は以前ブチぎれて白木の杭をたたき込んだとき、修繕は木戸にやってもらった。 だって、この店を祖母ちゃんの質屋から居酒屋に改装した大工の棟梁は祖母ちゃんの知り合いで、木戸はそこで見習いやっているんだから。
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