三分の一夜

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「そうかい。坊主、あの店を全部壊すってわけじゃないのかい。」 壊すだなんて! そんなことは、一度も考えたことなかった。 菓子折りを持って、棟梁のところに相談に行って、祖母ちゃんの質屋を改装して居酒屋をしたいって言ったら、そう言われたんだ。 「祖母ちゃんの思い出がたくさんある店ですし、造りだって頑丈だから、できるだけそのままでやっていきたいんですが。難しいですか?」 建て直した方が上手くいくのかな。 いろいろと改築の本を読んだりネットで調べたりしたけれど、専門家じゃない俺はわからないことの方が多い。 だから、この棟梁のところに一番に来たんだ。
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