三夜

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店の奥、トイレの横にある三畳ほどの小上がりは、祖母ちゃんがここで質屋をやっている時からあった。 何に使っているか祖母ちゃんに聞いたことはあるが、その都度適当なことを言われた記憶がある。 祖母ちゃんが疲れた時に、横になる昼寝の場所だよ、とか。 やばい客が来るときに、用心棒を雇ってここに隠れてもらっていた、とか。 表に出せない品を取り扱うときの商談用に、ある特定の客とだけはそこでやりとりした、とか。 どれが本当だかわからないまま、祖母ちゃん死んじまったし。 今は、俺がちょっと休む時に使うから、客用ではない。 だが、まさか店のど真ん中で着替えさせるわけにもいかないから、俺は着替え一式を部屋に置くとフランケンを呼んだ。 なのに。
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