三夜

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さすがに、狼男の木戸も、ろくろっ首の琴子さんも、目を丸くして落ちた腕を見ている。 そして、俺は。 「大丈夫ですか?応急処置はどうしたら?」 内心焦りまくっているのに、口から出た言葉は超冷静! 「えっと・・・針と糸、あります?」 縫うのか!? 普通の針と糸で、ここで縫うのか!? 「・・・兄さん、貸してごらんな。」 自宅から持ってこようとしたら、琴子さんが携帯していたソーイングセットを出した。 ちゃんと持ち歩いているんだな。 「たまに、お客さんのボタンなんかがとれかかっているのを縫うこともあるから、持ち歩いているのよ。」 俺の視線に、琴子さんが答えてくれた。
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