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「そう、かな…。」
「そうだよ!!…ほらほら霧乃ちゃんが暗い顔してるから、楽しい雰囲気も暗くなっちゃったよ!!…もっと楽しもうよ!!」
「…原因を作ったのはあなただと言えなくもない。」
「ちょ…慰めてあげたのにその言いぐさはないでしょ~!!」
「…別に誰も慰めてほしい、なんて言ってないけど…でも、有難う。あなたのお陰で少し気が晴れた気がする。」
きぃちゃんが感謝の気持ちを口にすると、南ちゃんは満足したような顔で「きっりのちゃーん!!」と激しく抱きついた。…その姿を見て、土方先輩は
「…南も、成長したもんだな。…ま、あういう所は昔から変わらないが。」
(土方先輩…?)
土方先輩の言葉に疑問を持ちながら、私たちは水着売り場の方へと向かった。
・・・・
―同時刻、剣道部内
「…ってことだ。何か質問がある奴はいるか?」
今…俺たち剣道部では、合宿の日程を確認しているところだった。
「特に無いようだな。…じゃ、今日はこれで解散だ。合宿まであと一週間しかないから、お前ら、さっさと準備しとけ。」
「はい!!」
質問もなく話すテンポも良かったため、剣道部の活動はすぐ終わった。
「一君、お疲れ。」
帰り支度をしていると、誰かに後ろから声を掛けられた気がしたため、振り返ってみると
「総司か。…お疲れ。」
「今日も霧乃ちゃんと帰るの?」
「…っ!!…そ、そんな事はあんたにとってみればどうでもいい事だろう。」
「それがね~どうでも良くないことみたいだよ?」
「…どう云う事だ」
総司の発言に疑問を感じていると、遠くから
「マジかよ!!」
と、平助の声が聞こえてきた。そして俺たちの姿を見ると、一目散に走ってきた。
「な、なあ二人とも!!」
「どうしたの?平助くん。」
「何事だ、平助…それから総司、何故あんたはそんなにニヤけているのだ。」
「いや、これから楽しみだな~って思ってさ。」
「だからあんたはさっきから―」
"何を企んでいる"と聞こうとすると、それを遮るように平助が
「この文面見てくれねーか?」
そう言って差し出されたのは―差出人が平助の妹の一通のメールだった。
「"あんたのだ~い好きな、千鶴ちゃんは私たち演劇部と一緒に合宿の買い出しに出掛けました~♪…なので、今日あんたは千鶴ちゃんと一緒に帰ることは出来ないんだよ~ドンマイ★"…これは…」
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