プロローグ

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 ***  クリスマスが近い12月、俺は学校帰りによく行くゲーセンに向かっていた。    コートのポケットに手を突っ込みながら、はーと白い息を吐く。  「雪でも降るんじゃないか……これ」  嫌になる寒気に愚痴をこぼしながら、財布の中身を確認する。  ――よし、今月はまだ生きていける。  俺のマイブームは、1プレイ50円の「鉄脚」。そして、今日もタイガーで幻の15コンボを相手にお見舞いしてやるぜ!!と息巻いていた時のことだ。俺は、ゲーセン前の交差点で本を読みながら信号を待つ少女を見つけた。    ――雪本愛唯(ゆきもと めい)  ウチの学校で、五本の指に入る美少女だ。  クールで謎を帯びたその雰囲気に、異常な性癖を持つ学校の男共は、自分が「蹴られ」、「踏まれ」、「罵られる」姿を想像しながら鼻息を荒立てる。勿論俺にそんな趣味はない。  確かに美人だし、学級委員なんかもやっていて社交的、美少女と呼ぶに相応しいのは確かだ。
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