兆候

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体も限界。 精神的にも追い詰められた。 私は引っ越しを決めた。 旦那の実家より自分の実家の側に家を探した。 アパートで育てるのは無理。 それに幹には愛情が必要だった。 私だけでは足りない。 私以外にも注いでくれる人が必要だった。 家賃より安いローン。 その日から旦那の説得に日を費やし、七ヶ月後には実家の側に中古の家を買った。 引っ越し前に幹の一歳三ヶ月検診が在った。 そこに主治医がたまたま居た。 幹の様子を話ながら見て貰った。 主治医は専門医では無いがと口にした。 それは我慢しても涙が出た言葉だった。 それから一月の後には引っ越し、実家に皆で夕食を食べに行った。 翌日、母親に離婚しろと言われた。 見た物に両親は旦那を許せないと話したと言う。 美月を膝に乗せDSで遊ぶ旦那。 幹は楽しそうな二人が気に成ったのか近付いて行った。 でもそれは恐る恐る。 本当なら普通に近付いて一緒に見れば良い。 でも、幹は遠くから覗き込み、近づかなかった。 一歳半に成るか成らないかの幼児の行動。 それを見た両親は直ぐに悟った。 私が体調を悪化させた理由。 近くに家を探した理由。 幹が父から離れなかった理由。 私は初めて自分の親に話した。 今の体では仕事をして家事は出来ない。 働いても旦那は手伝わない。 幹の事だって在る。 美月を手放す気もない。 だから今は離婚しない。 未だ学生の妹と弟が居る親におんぶに抱っこは避けたかった。
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